「SAP HANAって、どういうサービス?」
「SAP HANAを活用することでのメリットを知りたい!」
SAP関連の仕事をされた方で、HANAという言葉を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?
SAP社が提供するERPシステム、SAP ERPは2027年にサポートが終了する予定で、2027年以降はSAP社の提供する次世代基幹システムのSAP S/4HANAへ移行するなどの対応が求められています。
SAP HANAはこのSAP S/4HANAで採用されているデータベースで、インメモリー型で高速な処理が可能という特徴があります。本記事ではSAP HANAについて特徴や導入メリットなどを解説します。
SAP HANAとは
SAP HANAとは、SAP社が提供するインメモリー型のデータベースです。
次世代ERPシステムであるSAP S/4HANAのデータベースとして採用されています。
単にHANAというと、データベースであるSAP HANAと、ERPシステムであるSAP S/4HANAの2通りが考えられるので、混同しないように注意しましょう。
またSAP HANAとSAP S/4HANAにはオンプレミス版とクラウド版が存在し、導入企業のニーズに合わせて選択できるようになっています。
SAP HANAはOracleやSQL Serverと同様のRDBですが、インメモリー型のデータベースであるという点が大きく異なっています。従来のHDDやSSDからのデータの取得とは異なり、インメモリー型では、コンピューターのメモリ(RAM)にデータを格納し、メモリからデータを取得するため応答が非常に高速です。SAP S/4HANAもこの技術により、基幹システムの膨大なデータを扱いながらも、高速な処理やストレスのない使用感を実現しています。
SAP HANAの特徴
インメモリー型のデータベース
コンピューターのメモリ(RAM)上でデータを処理するため、従来のディスクストレージベースのデータベースよりも処理が高速 です。主にリアルタイム分析や金融システムなどのデータベースとして近年使い始められるようになってきました。
カラム指向のデータベース
SAP HANAの設計思想は、従来の行指向ではなくカラム(列)指向となっています。
カラムに整理、パーティション化、複数のサーバーへ分散してトランザクション処理や分析のワークロードを実行することで、コストのかかるフルテーブルスキャンを避けて、高速なクエリ処理を実現します。
非構造化データも取り扱いが可能
従来のRDBではテキストや画像、音楽などの非構造化データは扱えないことが通常でしたが、SAP HANAではこれらの非構造化データを取り扱うことが可能です。
データウェアハウスのようにデータの集約先としたり、収集した非構造化データに対して機械学習を行ったりデータ基盤として高い活用の可能性があります。
オンプレミス、クラウドの両方に対応
オンプレミス環境、クラウド環境の利用を選択できるため、例えばカスタマイズ性を求めてオンプレミスで構築したり、運用コストの削減のためにクラウド版を選択する、といった企業のニーズに合わせた導入が可能です。
高セキュリティ
リアルタイムデータ匿名化機能により、プライバシーを保護しながらのデータの分析や、ユーザー管理と認証により、閲覧可能なデータをユーザーや部門ごとに設定することで、セキュリティを保ちます。
高可用性
バックアップ、ストレージミラーリング、ホットスタンバイ、自動フェイルオーバーなどの様々な機能により、高可用性と障害回復を保証しています。
SAP S/4HANA導入のメリットについて
SAP HANAの特徴やデータベースとして優れた点を解説しました。次に、SAP HANAをデータベースとするERPシステムであるSAP S/4HANAの導入のメリットについても解説します。
社内システムの最適化、経営の効率化
従来の部門ごとに対応した業務システムを導入する方法では、どうしても各部門ごとの連携やデータの一元化といったミッションの達成が困難でした。
ERPシステムのSAP S/4HANAであれば、上記の各部門ごとの連携やデータの一元化を達成することができ、かつSAP HANAの優れたパフォーマンスにより、必要な時に高速で必要な処理を行えるという利点があります。
現代ではデータドリブンな意思決定や施策の策定、リアルタイムのデータ分析は企業の競合優位性を高めるために重要視されており、SAP S/4HANAが大きな役割を果たすこと期待できます。
データガバナンスやセキュリティの強化
SAP S/4HANAの導入により、各部門ごとにデータの形式が一意に定まっていない、データの格納先もバラバラといった問題や、システムごとにセキュリティの設定がまちまちで、全体を統括することが困難といった問題の解決が可能です。
SAP S/4HANAの導入により企業のデータガバナンスやセキュリティを高めることができます。
従来のSAP ERPや他社ERP製品と比べて洗練されたUXデザイン
SAP S/4HANAではUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上を重点としており、例としてユーザーのロールごとの画面設計により画面を行き来させる回数を減少させるといった試みによりストレスなく高い処理速度で業務が完了するように設計されています。
従来のデータベースからSAP HANAへの移行について
従来のデータベースからSAP HANAへ移行するには、いくつかの調査とステップが必要です。
ここでは移行のステップについて解説します。
- 移行対象の選択
レガシーシステムにはデータの他に、カスタムコードなどの移行対象が含まれている場合があります。もれなく移行する対象をリストアップします。 - 導入戦略の作成
移行後の環境など概要を作成します。SAP HANAの場合、オンプレミス、クラウド、ハイブリッド全ての環境が実現可能です。 - SAP HANAの要件作成
主に永続ストレージのディスクサイズや、必要なメモリー量など、SAP HANAの要件を決定します。 - データクレンジング
重複データや古いデータの削除を行い、データリソースの合理化を行います。 - 移行リソースの使用
移行のサービスやツールを使用して、実際にデータ移行を行います。 - PoCの実行
本番稼働前にPoCで移行プロセスの成功の検証や、実稼働に問題がないかを確認しフィードバックを収集します。
まとめ
SAP HANAはSAP S/4HANA以外にもSAP Analytics CloudやSAP Data IntelligenceといったSAPの様々な次世代サービスの基盤として使われています。
このことからもSAP HANAがリアルタイム分析やビッグデータの分析のニーズが高い現代において、高パフォーマンスで時代に適合したデータベースであることが伺えます。
本記事がSAP HANAやSAPのサービスについての理解を深める一助になりましたら幸いです。
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