“クラウドストレージ”を利用している方も多くいらっしゃると思いますが、”オブジェクトストレージ”はご存じでしょうか。
「ファイルストレージなら聞いたことがある」
「どんなデータを保存する?」
「クラウド上にデータを保存するのは、セキュリティが心配・・・」
といった方も多いのではないでしょうか。
クラウドストレージにも用途に応じてさまざまなサービスがありますが、代表的なサービスとしては、以下のようなサービスがあります。
・Excelなどのファイルの保存・共有用:OneDrive、GoogleDrive、Boxなど
・システム開発や大容量データの保存 :Azure Storage、Amazon S3、Google Cloud Storageなど
本記事では、Microsoft Azureのサービスの1つであるAzure Storage。中でも、Azure Blob Storageにフォーカスし、Azure Blob Storageの概要や特徴を解説いたします。
Azure Blob Storage とは
Microsoft社が提供するクラウドプラットフォームサービスであるMicrosoft Azureのサービスの1つにAzure Storage (Azure ストレージ)と呼ばれる複数のストレージを提供するクラウドストレージサービスがあります。
Azure Blob Storageは、Azure Storageが提供する複数のストレージの中の1つです。
また、Azure Blob Storageは、非構造化データである画像ファイルや動画ファイル、システムのログファイルなどを保存することに特化したオブジェクトストレージです。
保存するデータをBLOB(Binary Large Objectの略)と呼び、BLOBの入れ物(フォルダのようなイメージ)を””コンテナー””と呼びます。
ファイルストレージのような階層構造(ディレクトリ構造)はありませんが、保存している各データごとに一意のURLが発行され、HTTPもしくはHTTPS経由で世界中のどこにいてもアクセスできるため、Webサーバの代わりに使用したり、動画などのコンテンツ配信やバックアップデータの保管などに利用することができます。
なお、ブロックストレージのように仮想マシンに紐づけることはできません。
同様のサービスで代表的なサービスとしては、Google Cloud StorageやAmazon S3などがあります。
※Azure BLOB Storageに関する最新/詳細情報は、Microsoft公式ページを参照ください。
Azure Blob Storage の概要
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/storage/blobs/storage-blobs-introduction
Blobの種類
前述の通り、ストレージに保存されたデータをBLOBと呼び、BLOBの入れ物をコンテナーと呼びます。
なお、1つのコンテナーには、保存できるBLOBの数量の制限はありません。
また、Azure Storageで利用することができるBlobは、用途に合わせて以下の3種類あります。
・ブロックBLOB
非構造化データである画像ファイルや動画ファイル、システムのログファイルを格納することができるBLOBです。
最大約190.7TiB(テビバイト)のデータを格納することができます。
・追加BLOB
ブロックBLOBと同様の構成ですが、仮想マシンのデータログ記録などに適しているBLOBです。
・ページBLOB
仮想ハードドライブ(VHD)ファイルを格納し、Azure仮想マシン用のディスク用のBLOBです。
最大8TiB(テビバイト)のランダムアクセスファイルを格納することができます。”
補足:オブジェクトストレージ/ファイルストレージ/ブロックストレージ とは
前述のオブジェクトストレージ/ファイルストレージ/ブロックストレージの補足説明です。
それぞれのストレージの主な概要、特徴、管理する単位は以下の通りです。
〇オブジェクトストレージ/ファイルストレージ/ブロックストレージの違い
・オブジェクトストレージ
概要:非構造化データである画像ファイルや動画ファイル、システムのログファイルなどを保存することに適したストレージ
特徴:データをオブジェクトという単位で定義し、オブジェクト同士はフラットな関係で、データの移動で階層構造も変わることはなく、固有のIDが付与されるため、HTTPでのアクセスができる。
・ファイルストレージ
概要:ExcelファイルやPDFファイルなどをファイル形式で保存することに適したストレージ
特徴:データをファイル単位で分割し、階層構造(ディレクトリ構造)および属性情報により、ファイルのアクセスや検索が容易にできる。
・ブロックストレージ
概要:仮想マシンやPC、サーバーの仮想/ハードディスク用のストレージ
特徴:仮想マシンやPC、サーバーの記録領域をボリュームという単位に分割し、ボリュームの内部をさらに固定長のブロックという単位に分割して管理することで、高速な送受信ができる。
補足:Azure Storage とは
Azure Storage (Azure ストレージ)は、保存するデータの種類(形式)や目的に応じて、複数のストレージを提供するクラウドストレージサービスです。
Microsoft Azureが提供するAzure Virtual MachinesやAzure Azure Functionsなどの各種サービスを利用する際にデータを保存(格納)場所としてよく利用され、主なストレージの種類は、BLOB/Files/キュー/テーブル/マネージドディスクの5種類があり、主な用途は以下の通りです。
・Azure BLOB:テキストおよびバイナリデータを保存するストレージ
・Azure Files:Excelなどのファイルを保存するストレージ
・Azure キュー:バッチ処理などアプリケーション間のメッセージングのためのストレージ
・Azure テーブル:データベースなどの構造化データを保存するストレージ
・Azure マネージドディスク:Azure Virtual Machines(仮想マシン)向けのストレージ
Azure Storageは、高い耐久性、拡張性、安全性(セキュリティ)を持つMicrosoft Azureのサービスの1つであり、その他のMicrosoft Azureのサービスとの互換性も高く、万が一の予期せぬ障害や災害からデータ消失を防ぐためにデータを複製する冗長性オプションも用意されているサービスです。
また、REST APIを用いて、HTTPもしくはHTTPS経由で世界中のどこにいてもアクセスでき、運用時の構成管理などではAzure PowerShellとAzure CLIといったコマンドラインツールからデータ管理をすることができます。
Azure Blob Storage の特徴
前述の通り、Azure Blob Storageは、非構造化データである画像ファイルや動画ファイル、システムのログファイルなど様々なデータを保存することができます。
さらに、比較的、大容量のデータであっても格納することができるため、あらゆるデータ形式のデータ利用するIoTシステムにも適したストレージとなります。
Microsoft Azureが持つ高い耐久性、拡張性、安全性(セキュリティ)の他に主なAzure Blob Storage の特徴をご紹介します。
HTTPおよびHTTPSでアクセスできる
まず1つ目は、HTTPおよびHTTPSでアクセスできることです。
Azure Blob Storageの各データには、HTTPおよびHTTPSでURLベースで世界中のどこからでもアクセスすることができます。
そのため、Azure Blob Storageに保存した画像やドキュメントをWebサイトで公開したり、動画や音楽をストリーミング配信することができます。
Import/Exportサービスで安全なデータ移行ができる
2つ目は、Import/Exportサービスで安全なデータ移行ができることです。
Azure データセンターにHDDなどのディスクドライブを送付し、Azure StorageのストレージであるAzure Blob StorageやAzure Filesに大容量データを安全にImportできるサービスがあります。
また、逆にAzure Blob StorageからディスクドライブにExportし、郵送するサービスもあります。
そのため、インターネット回線で大容量のデータを移行する必要はなく、オンプレミスからAzure Blob Storageへの移行時には、オンプレミスで使用していたHDDを郵送することで、安全にデータを直接移行することができます。
各プログラム言語に対応したライブラリがある
3つ目は、各プログラム言語に対応したライブラリがあることです。
主に開発者向けとなりますが、Azure Blob Storageにアクセスする場合は、Azure Storage REST API、Azure PowerShell、Azure CLI、または Azure Storageクライアントライブラリを使用して、アクセスすることができ、以下のような各種プログラミング言語に対応したクライアントライブラリが用意されています。
・.NET
・Java
・Node.js
・Python
・Go
また、SSHファイル転送プロトコル(SFTP)経由でAzure Blob Storageへ接続することもでき、ネットワークファイルシステム(NFS)3.0プロトコルを使用して、Azure Blob Storageコンテナーをマウントすることもできます。
Azure Blob Storageの料金体系
Azure Blob Storageを含むAzure Storage (Azure ストレージ)を利用する際には、Azure Storageを管理する単位でストレージアカウントを作成し利用します。
そのため、各ストレージへのアクセスは、ストレージアカウントによって制御されます。
Azure Storage (Azure ストレージ)の料金は、””使用したデータ量””の他にこのストレージアカウント作成時のストレージのパフォーマンスレベルや冗長性オプションなどの選択によって異なります。
また、””使用したデータ量””には以下が含まれます。
・データ保存量:保存しているデータ量
・トランザクション量:データの書き込み/読み取りを行ったデータ量
・データ転送量:データへのアクセス時のデータ量
また、ストレージには、ホット/クール/コールド/アーカイブ層といった階層があり、ストレージ/アクセスコストは、以下のようになっております。
そのため、システムの監査ログなどデータの長期保存を目的とし、アクセス頻度が低いデータは、ストレージコストが低い階層に保存することでランニングコストを抑えることができます。
※選択できる階層は、ストレージアカウントのパフォーマンスレベルや冗長性オプションなどにより異なります。
・ストレージコスト:ホット > クール > コールド > アーカイブ
・アクセスコスト:アーカイブ > コールド > クール > ホット
※Azure Storage (Azure ストレージ)の料金体系に関する最新/詳細情報は、Microsoft公式ページを参照ください。
Azure Blob Storage の価格
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/storage/blobs/
まとめ
実機サーバーへデータを保存している情報システム担当者の方で、
「サーバーのランニングコストを最適化したい」
「クラウドストレージを導入検討中」
といった方は、Azure Blob Storageなどのクラウドストレージの導入を検討してはいかがでしょうか。
KUIXではただ導入・開発するだけでなく、導入後の利活用を実現することに着眼して、GCP、AWS、Azureの選定・導入から運用、展開までの支援を行っております。お困りの方は、ぜひお気軽にご連絡ください!お問い合わせはこちらから

