Microsoft Azureというクラウドサービスをご存じでしょうか。
Microsoft Azureは、AmazonのAWS(Amazon Web Service)やGoogleのGCP(Google Cloud Platform)と並ぶ人気のクラウドサービスです。
クラウドサービスと聞くと、
「難しそう。どうやって使うのだろう」
「費用が高くて自社での導入は厳しそう」
といったイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Microsoft AzureやAWS、GCPを活用し、BIツールでのデータの可視化や分析、業務効率化を行い、その他データ活用に関する多くの知見のある株式会社KUIXがこれまでの経験をもとにMicrosoft Azureの概要やメリット、代表的なサービス、利用料金を解説いたします。
Microsoft Azureとは?
まず、Microsoft Azureとは、Microsoftが提供するクラウドプラットフォームサービスです。
2008年10月にMicrosoft社のデベロッパーカンファレンスで発表され、2010年10月に「Windows Azure」としてサービス開始されました。
その後、2014年に「Microsoft Azure」にサービス名が変更され、2023年5月現在でも提供されているサービスです。
特徴としては、すべてのサービスがクラウド上に構築・展開されていることです。
物理的なサーバーなどは必要としないため、コンピュータさえあればインターネット経由でどこでも利用でき、サーバー購入費や保守費、データセンター利用費などのコストを削減することができます。
Microsoft Azureの利用料金は、AmazonのAWS(Amazon Web Service)やGoogleのGCP(Google Cloud Platform)と同様に、初期費用は発生せず、利用した分だけを支払う従量課金制となっています。
なお、Azureでは、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)のサービスが充実しており、サーバーやネットワークといったITインフラや、開発プラットフォームなどの必要な機能を自由に組み合わせて利用することができます。
また、その他のクラウドサービスとの大きな違いは、万が一、トラブルが起きた際に、日本の法律が適用されることです。
例えば、AWSの準拠法と管轄裁判所はアメリカになりますが、Azureでは準拠法が日本の法律であり、管轄裁判所は東京地方裁判所です。そのため、日系大手企業にとっては安心感が得られます。
クラウドサービスの種類
ここで、クラウドサービスの基礎知識として、クラウドサービスの分類について解説します。
クラウドサービスは大きくSaaS/PaaS/IaaSの3種類に分類することができます。また、クラウドサービスを利用せず、自社でサーバーを用意し、管理するオンプレミスがあります。
SaaSとは?
SaaS ( Software as a Service )は、SNSやメールなどのアプリケーションが持つ機能をサービスとして提供します。
業種や業務別のアプリケーションから、SNSやクラウドメールのようなコミュニケーションツールなどもSaaSとして分類されています。
PaaSとは?
PaaS ( Platform as a Service )は、アプリケーションを開発・実行するためのツールや環境(プラットフォーム)をサービスとして提供します。具体的には、プログラミング環境やデータベースなどの機能です。
IaaSとは?
IaaS ( Infrastructure as a Service )とは、サーバーなどのコンピューターやストレージ、ネットワークなどのハードウェアが提供する機能をサービスとして提供します。
物理的なハードウェアを疑似的に分割・統合する仮想化の技術を活用し、利用者にコンピューター資源を割り当てます。
オンプレミスとは?
クラウドサービスを利用せず、ハードウェア、仮想化ソフトウェア、OS、ミドルウェア、アプリケーション、データをすべて自社/自身で調達・管理します。
Microsoft Azureの代表的なサービス
ここからは、Microsoft Azureの代表的なサービスを紹介します。
Azure DevOps
Azure DevOpsとは、Microsoftが提供するDevOpsです。
DevOpsは、DevelopmentとOperationsを組み合わせてできた単語で、プロジェクトの開発(Development)と運用(Operations)を支援してくれるプロジェクト管理ツールで、以下のような機能があります。
・Boards(ボード):進捗管理や仕様書の作成を支援
・Repos(リポ):ソースコードの共有などのリポジトリ機能
・Pipelines(パイプライン):コンパイルやデプロイの機能
・Test Plans(テストプラン):テストの支援機能
Azure Functions
Azure Functionsは、サーバ構築を必要とせずに関数を実行できるサービスで、HTTP要求やGitHubのイベントなど様々なトリガーでコードの実行ができます。
また、コードの実行に必要なインスタンスは自動で追加・削除され、メモリも必要に応じて最大1536MBまで自動的に拡張されます。
※サポートされているプログラム言語:C#、JavaScript、F#、Java、Python、TypeScript、PowerShell
Azure Storage
Azure Storageは、Microsoftのクラウドストレージサービスです。
他のAzureのサービスを利用する際にも利用し、保存するデータの種類や目的に応じてBlob、Queue、Table、Files、Disk、Archiveなどが用意されています。
Azure Virtual Machines
Azure Virtual Machinesは、Azureの仮想マシンサービスです。
仮想サーバにOSやソフトウェアをインストールして利用でき、Windowsだけでなく、Linux系のOSも利用できます。仮想サーバにはリモートデスクトップやSSHでアクセスすることができます。
Azure Active Directory
Azure Active Directoryは、MicrosoftのID、アクセス管理サービスです。
認証やアクセス許可、デバイスなどのID管理を一括で行うことができ、クラウドだけでなく、オンプレミスのID管理も行うことができます。
Microsoft Azureを利用するメリット
ここからは、コスト(従量課金制)/拡張性・柔軟性/セキュリティ/将来性の項目別に、メリットを説明します。
コスト(従量課金制)
Microsoft Azureの利用料金は、分単位の従量課金制となっているため、スモールスタート時の初期費用を抑えたい場合にも適しています。
また、GCPやAWSと同じく、長期契約の割引や法人向けの料金設定もあり、エンタープライズ向けの割引もあります。
拡張性・柔軟性
Azureは、高性能なコンピューターを世界各国のデータセンターに構築することで強靭なネットワークを構築しています。
Azureのサービスは、この構築されたネットワーク内で、サービスをグローバルレベルに分散配置しているため、単一のサーバー障害やリージョン障害にも耐えられる高い可用性、数千台規模のスケーラビリティを持っています。
セキュリティ
Azureは、世界中にAzureのデータセンターを持っており、コンプライアンス対策やネットワークセキュリティ対策も万全となっています。
また、セキュリティに関する脅威は、データセンターの外だけでなく、内側(例えば、悪意のあるオペレーション)によっても発生しますが、Azureデータセンター自体も「入館者の制限」、「多層のセキュリティゲート」、「自動化による人為的作業の削減」など様々な対策が取られています。
将来性
Azureは、Microsoft社による開発・投資が担保されています。
例えば、Microsoft社は、セキュリティ関連のR&D(Research and Development)に年間10億ドルを超える研究開発の投資を行い、3500人のサイバーセキュリティのエキスパートを採用しています。
利用料金
新しいサービスやツールを導入する上で、利用料金は押さえておくべきポイントになります。
ほとんどのAzureサービスは、従量課金ですが、Azureアカウントを作成済みであれば、無償で利用できるサービスも多数あります。
参考までに、一般的なIaasサービスである仮想マシン、ディスク(ストレージ)、ネットワークの課金対象を記載いたします。
詳細な料金計算は、以下のMicrosoft Azure公式ページより製品(サービス)を選択の上、計算ください。
(Microsoft Azure)料金計算ツール(https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/calculator/)
仮想マシン
〇課金対象
・インスタンスモデル
・稼働時間
〇備考
・管理画面よりインスタンス(マシン)を停止することで課金が停止。
※マシンをシャットダウンするだけでは、課金を停止することはできません。
ディスク(ストレージ)
〇課金対象
・ディスクタイプ(HDD or SSD)
・ディスクサイズ
・トランザクション数(HDDのみ)
・データの冗長性(データセンター内 or データセンター間)
〇備考
・ストレージは、ファイル、オブジェクトなど用途に合わせて選択可能
ネットワーク
〇課金対象
・送信データ(Azure データセンターから出ていくデータ)
〇備考
・受信データ(Azure データセンターに入るデータ)は課金対象外
まとめ
Microsoft Azureにはさまざまなサービスがありますが、ニーズや目的によって、各サービスを自由に組み合わせて利用することができます。
データ分析、プロジェクト管理、検索サービスやゲームなどのWebアプリケーション開発などに応じて各サービスを利用することで、今までの手作業で行っていた業務の自動化やヘルプデスク業務の簡略化など高い費用対効果が見込まれることもあります。
ぜひ、既にMicrosoft Azureを導入済の企業のみなさまや現在クラウドサービスの導入検討中の方は、Microsoft Azureサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社KUIXではただ導入・開発するだけでなく、導入後の利活用を実現することに着眼した、Azure・GCP・AWS、データレイク・DWH・データマート、BIツールの選定・導入からレポート作成、運用、啓蒙・展開までトータルのコンサルテーションなどを行っています。お困りの方は、ぜひお気軽にご連絡ください!お問い合わせはこちらから