SoEという言葉をご存知でしょうか?
業務ソフトウェア業界ではSoEという言葉、また対比される言葉としてSoR、SoIがあります。
ビジネスにおいて、顧客ニーズを把握し顧客満足度を向上していくためには、SoEの導入が欠かせません。
本記事では、 SoEの概要や具体例、関連するSoR、SoIそれぞれの関係性についてわかりやすく解説します。
SoEとは
SoEとは、System of Engagementの頭文字をとった言葉で、ユーザーとの関係構築を重視して設計されるシステムを指します。
従来のITシステムは、主に内部業務の効率化や管理にフォーカスしたSoR(詳細は後述)として機能していました。SoEでは入力した情報を記録し共有することだけが目的でなく、顧客やステークホルダーとの関係構築を優先するため、顧客中心主義のビジネス戦略に適したシステムとされています。
SoEを活用することで、企業は顧客のニーズやフィードバックをより正確かつ迅速に把握することができ、顧客満足度の向上や顧客ロイヤルティの向上につながります。
また、SoEは企業のブランド認知度や信頼度の向上にも貢献し、新規顧客獲得や既存顧客の維持・拡大につながるとされています。
SoEの具体例
SoEの具体的な例としては以下のようなシステムがあげられます。
・CRM(顧客関係管理システム)
CRMは、顧客データを収集し、顧客との関係を深めるために利用されるシステムです。
顧客情報管理、セールス管理、問い合わせ管理などが可能で、それらを分析・レポート機能を使用することによって、顧客との関係を深める施策を展開します。
CRMを導入することにより、企業は顧客との関係をより深め、顧客満足度の向上へとつなげることができます。
また、CRMは、顧客との接点を増やし新規顧客の獲得や既存顧客の維持・拡大につながるとされており、CRMを積極的に活用することで、競争力の強化や収益増加につながると期待されています。
・SNS
SNSは、個人間や企業間のコミュニケーションを支援するためのシステムです。
プロフィール、フレンド/フォロー機能、タイムライン、コメント/いいね機能、メッセージ機能などの機能を持ち、それらを通じて個人や企業は、顧客やファンとのコミュニケーションや情報共有を行うことができます。
SNSは、顧客との関係構築や顧客満足度の向上につながるともされており、近年では顧客とのつながりを強化するためのSNS活用をしている例が多く見られます。
・グループウェア
グループウェアは、企業内の社員や外部のパートナー、顧客とのコミュニケーションや共同作業を支援するためのシステムです。電子メール、チャット、スケジュール管理、ドキュメント管理などの機能を通じて、社員同士や顧客とのコミュニケーションや作業を円滑に行うことを実現しています。
SoEとSoR、SoIの関係性
ここまでSoEという言葉の意味を解説してきました。
システムの概念として、SoE以外にもSoR、SoIという類似の言葉があります。
ここではSoEに関連する、SoRとSoIについても解説していきます。
SoRとは
SoRとは、System of Recordの頭文字をとった言葉で、企業や組織が保有するデータや情報を管理し、保有するデータの正確性、信頼性、安全性を確保するためのシステムを指します。主に内部業務の効率化や管理にフォーカスしたシステムであり、企業の基幹業務において欠かせない存在とされています。
SoRには、会計システム、人事・給与システム、在庫管理システムなどが含まれます。これらのシステムは、企業が保有する重要なデータや情報を一元管理し、迅速かつ正確にアクセスすることを可能にしています。
SoEとSoRは、互いにサポートし合う関係にあります。
例えば、SoEの一つであるCRMシステムでは、顧客が企業のウェブサイトを訪問する際に収集された情報を、SoRである顧客情報を一元管理するための顧客データベースに保存することがあります。
顧客との接触から収集された情報を統合し、一元管理するという一連の流れで、SoEとSoRは相互に作用しあっています。
SoEとSoRが相互に連携し、適切に管理されることで、企業はより効果的に業務を実行し、ビジネス成果を上げることができます。
SoIとは
SoIはSystem of Insightの頭文字をとった言葉で、ビッグデータを活用して企業に新たなインサイトや価値を提供するシステムです。SoIは、企業内外にある多様なデータソースからデータを収集し、分析や可視化を行うことでビジネス上の課題やチャンスを見つけ出し、経営判断をサポートします。
SoIには、BI(ビジネスインテリジェンス)やDWH(データウェアハウス)などが含まれます。これらのシステムは様々なシステムで保有しているデータを活用し、インサイトを導き出すために用いられます。
SoIは、SoEを通じて得た大量のデータやSoRで管理されているデータを分析し、企業にとって価値のあるインサイトを生み出します。
例えば、顧客行動を分析することで、優良顧客の特徴を把握し、優良顧客を増やすためのマーケティング戦略を立案することができます。
また、社内プロセスのデータを分析することで、生産性向上や効率化のための改善策を導き出すことができます。
SoEとSoIを統合的に活用することで、企業はより効果的なマーケティングやビジネス上の意思決定を行い、競争力を強化することができます。
SoIについては下記記事にて詳しく書いております。詳細が気になる方は合わせてお読みください。

SoEが求められている背景
SoEとは何か、イメージが掴めてきたのではないでしょうか?
それでは、このSoEがなぜ注目されているのか、なぜ求められているのかを説明していきます。
顧客体験価値の向上が求められている
インターネットやスマートフォンの普及、テクノロジーの発達により、顧客はいつでもどこでも手軽に情報を得ることができるようになりました。
その結果、行動やニーズも大きく変化し、商品やサービスを購入する際には、価格や品質だけでなく、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)に価値を求めるようになってきています。
顧客体験価値を向上させるため、顧客とのコミュニケーションによる顧客のニーズや要望の把握や、顧客情報の分析による顧客に合わせたサービス提供をすることが求められ、SoEが必要とされています。
ロイヤルティの向上が求められている
グローバル化やテクノロジーの発展により、顧客は商品やサービスを購入する際の選択肢が膨大に増えています。
このような状況の中で企業が生き残るためには、競合他社に顧客を取られないよう長期的な関係性を築くことで、競争優位を確保する必要があります。
そのためには顧客からのロイヤルティ(製品やサービスに対して感情的な強い結びつき)を高める必要があります。
SoEを用いることで、企業は顧客とより密接なコミュニケーションを取ることができるようになります。
顧客の直接的なフィードバックによる課題の解決や、顧客の好みやニーズの把握による個別カスタマイズされたサービスを提供することで、顧客との信頼関係を築き、顧客から企業に対するロイヤルティを高めることができます。
顧客との信頼関係が求められている現代において、SoEは必要不可欠なものとなっています。
まとめ
SoEの概要や関連するSoR,SoIについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
SoEの考え方やそれに関係するSoR、SoIは、データの活用が求められている現代においてこれからさらに注目される言葉になるのではないかと思います。
もし、ぜひSoE、SoR、SoIという言葉の意味を理解し、データ活用のためのシステム作りを検討してみてください。
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