Pythonはその使いやすさと強力なライブラリの存在により、データサイエンスや機械学習の分野で広く利用されています。
しかし、その一方で環境構築にはPython自体の実行環境の構築やプログラムのエディタをいれるなど、色々と初心者にはハードルがあるという問題もありました。そこで登場するのがAnacondaで、今回はPython開発環境を作る上で非常に便利な「Anaconda」について解説します。
Anacondaとは?

Anacondaは、PythonとRのためのパッケージ管理システムおよび環境管理システムです。複数のPythonバージョンやライブラリを自由自在に管理することが可能であり、環境構築の手間を大幅に減らすことができます。
また、Anacondaは、Windows、Mac、Linuxなど、主要なプラットフォームすべてをサポートしており、様々な環境でのPython開発が可能になります。
Anacondaの歴史と背景
Anacondaは、Continuum Analytics(現在のAnaconda Inc.)によって2012年に作成されました。Pythonの科学計算分野での利用を容易にするためのプロジェクトとして開始され、その結果、Pythonの環境管理とパッケージ管理を一手に引き受けるツールとなりました。
Anaconda活用のメリット
それでは、具体的にAnacondaがどのようなメリットを持っているのか見ていきましょう。
環境構築が簡単
Pythonの環境構築は、初心者にとってはやや複雑に感じられるかもしれません。ライブラリのバージョン管理、依存関係の解決など、考慮すべきことが多いからです。しかし、Anacondaを使うことで、これらの問題を一手に解決できます。一つのコマンドで必要なライブラリや依存関係を自動的にインストールしてくれます。
機械学習用の環境が整っている
Anacondaは、NumPyやPandas、Matplotlib、Scikit-learnなど、データ分析や機械学習に必要なライブラリがプリインストールされています。これにより、初めてPythonを使う人でもすぐにデータ分析を始めることができます。逆に機械学習以外の目的でPythonを記述する場合はAnacondaはあまり使われません。あくまで機械学習としてPythonを利用する際によく使われるツールと理解しておいてください。
複数のPythonのバージョンを利用できる
また、Anacondaは複数のPythonバージョンを同時に管理することができます。これにより、プロジェクトに応じて適切なPythonバージョンを使用することができます。これは、特定のライブラリが古いPythonバージョンにしか対応していない場合などに非常に便利です。
コミュニティとサポート
Anacondaは世界中で非常に広く使用されており、活発なコミュニティと強力なサポートがあります。公式ドキュメンテーションは非常に詳しく、また、問題が発生した場合でも、インターネット上で情報を探すことが容易です。
Anacondaのインストール手順
それでは、次にAnacondaのインストール手順について解説します。今回は、Windowsでのインストールを例に説明します。
まず、Anacondaの公式サイト(https://www.anaconda.com/)からインストーラをダウンロードします。ダウンロードが完了したら、インストーラを実行し、画面の指示に従ってインストールを進めてください。
インストール先のディレクトリやインストールするパッケージなど、必要に応じてオプションを選択します。(特にこだわりがなければ指示通りにインストールを進めてください)
インストールが完了するとメニューの中にAnaconda3というフォルダが作成され、いくつかのツールが入っている状態になります。この中で最も利用するのがAnaconda Navigatorとなります。

Anaconda Navigatorの紹介
Anaconda Navigatorは、AnacondaのGUIツールです。これを使うと、Anacondaの機能をコマンドラインではなく、グラフィカルなインターフェースから操作することができます。以下で簡単にメニューの紹介をしていきます。
【Anaconda Navigator】Home
HomeメニューではAnacondaに含まれる様々なアプリを起動することが出来ます。特にPythonを書いていくにあたってはJupyter Notebookはよく使うツールです。こちらの画面から立ち上げることでJupyter Notebookをすぐに立ち上げることが出来ます。
Python&Jupyter Notebookを使った機械学習についてはこちらの記事をご覧ください。

【Anaconda Navigator】Environment
EnvironmentsメニューではAnacondaの環境の管理が可能です。Anacondaでは1台のPCの中に仮想の複数の環境のセットアップができますのでPythonの複数バージョンのテストを一台のPCで管理したい、といった場合に簡単に実現することが出来ます。こちらのメニューから各環境にインストールされているパッケージなどが確認できます。
またAnaconda Navigatorのパッケージ管理機能では、インストール済みのパッケージのリストを確認したり、新しいパッケージをインストールしたり、既存のパッケージをアップデートしたりすることができます。

【Anaconda Navigator】Learning
Anacondaに含まれる各種アプリについて学習したい場合、こちらのメニューからリンクするサイトで学習が可能です。

【Anaconda Navigator】Community
Anacondaに含まれる各種アプリに関するコミュニティサイトへのリンクがまとまっています。

コマンドラインによる操作
Anacondaはコマンドラインから操作することも可能です。コマンドラインを利用する場合はAnaconda Promptを利用します。スタートメニューに追加された項目から立ち上げることが出来ます。

パッケージの追加
例えば新しいNumpyというパッケージをインストールする場合は、以下のコマンドを使用します。
conda install numpy
このコマンドを実行すると、NumPyというパッケージがインストールされます。
また、既存のパッケージをアップデートする場合は、以下のコマンドを使用します。
conda update numpy
このコマンドを実行すると、NumPyというパッケージが最新のバージョンにアップデートされます。
仮想環境を作る
仮想環境の作成と削除
新しい環境を作成するには、以下のコマンドを実行します。
conda create --name myenv
ここで、「myenv」は作成する環境の名前です。名前は任意のものを設定することができます。
また、不要になった環境を削除するには、以下のコマンドを実行します。
conda env remove --name myenv
これで「myenv」という名前の環境が削除されます。
このようにコマンドベースでの操作も簡単にできるようになっています!今後Anacondaに関する記事などを見たうえで、コマンド入力の指示があった場合はこちらのAnaconda Promptをご利用ください!
まとめ
Pythonの開発環境を作成するためのツールとして、Anacondaは非常に強力なツールです。パッケージ管理、環境管理の機能を備え、さまざまなプラットフォームに対応しています。
Pythonを使ってデータ分析や機械学習を始める初心者にとって、Anacondaは非常におすすめのツールです。ぜひこの記事を参考に、Pythonの開発環境を作ってみてください。
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