社内ネットワークへ接続するためにVPN接続サービスを利用している方も多いことと思います。
リモートワークや外出先から社内システムやデータにアクセスできるVPNですが、VPN接続サービスの1つである広域イーサネットをご存じでしょうか。
本記事では、情報システム部門のコンサルティングやBIツールでのデータの可視化・分析などデータ活用に関する多くの知見のある株式会社KUIXがこれまでの経験をもとにVPN接続サービスの1つである””広域イーサネット””の概要やメリット/デメリットなどを解説いたします。
広域イーサネットとは
広域イーサネットを一言で表すと、地理的に離れた自宅やオフィスなどのネットワーク同士を１つのネットワークとして接続するサービスです。
自宅やオフィスなどの限られた範囲におけるネットワークは、LAN(Local Area Network)と呼ばれますが、通信事業者が提供する閉域網を利用するL2(レイヤ2)のVPN接続サービスである広域イーサネットを利用することで、地理的に離れたLAN同士を接続することができます。
広域イーサネットのメリット
通信速度が速い
まず、広域イーサネットのメリットの1つ目は、通信速度が速いという点です。
広域イーサネットは、安定して高速なLAN技術であるイーサネットをWANにも適用させたサービスであり、通信事業者の閉域網を利用して契約者毎に専用ネットワークを構築するため、IP-VPNよりも高速な通信をすることができます。
プロトコルに制限がない
2つ目は、プロトコルに制限がないという点です。
広域イーサネットは、IP-VPNやインターネットVPNのようにインターネットプロトコルでの通信に限定されることがなく、多様なルーティングプロトコルに対応できるため、柔軟なネットワーク設計をすることができます。
また、L3（レイヤ3）以上のプロトコルに制限がなく、ダイナミックルーティングプロトコルも使用できるため、冗長化されたネットワーク環境の構築もできます。
LANの拡張がしやすい
3つ目は、LANの拡張がしやすいという点です。
広域イーサネットは、L2(レイヤ2)で通信をおこなうため、複数のLAN同士をつなげて1つのLANとして利用することができますが、終端をL2(レイヤ2)スイッチで拡張することが可能です。
また、ルータのようなL3(レイヤ3)対応機器に比べて機器にかかるコストを抑えることができます。
広域イーサネットのデメリット
広域イーサネットのデメリットとしては、設定の煩雑さがあります。
前述の通り、広域イーサネットは、プロトコルの制限がなく、LANの拡張性に優れているなどカスタマイズ性が高いですが、構築・運用担当者は、その自由度を活かすことができる高い技術力や知識が必要になります。
そのため、高い技術力を持つ人材確保や教育および信頼できる開発ベンダーの確保が必要になります。
IP-VPN、インターネットVPN、専用線との違い
オフィスなどの拠点間接続方法である、広域イーサネット/IP-VPN/インターネットVPN/専用線の違いについて、
ネットワークやセキュリティ、コストなどの違いは以下の通りです。
〇広域イーサネット
・ネットワーク：閉域網
・セキュリティ：高い
・コスト：高い
・通信レイヤー：L2
・カスタマイズ性：高い
〇IP-VPN
・ネットワーク：閉域網
・セキュリティ：高い
・コスト：高い
・通信レイヤー：L3
・カスタマイズ性：低い
〇インターネットVPN
・ネットワーク：公衆網
・セキュリティ：低い
・コスト：安価
・通信レイヤー：L3
・カスタマイズ性：低い
〇専用線
・ネットワーク：物理的な専用回線
・セキュリティ：高い
・コスト：高い
・通信レイヤー：L1
・カスタマイズ性：低い
まとめ
VPN接続サービスの1つである””広域イーサネット””の概要やメリット/デメリットなどは理解できましたでしょうか。
セキュリティ面やカスタマイズ性、コストなどの観点からクラウドサービスの利用や移行している方も多いと思いますが、従来のネットワーク構成に課題を感じている、または、クラウドサービス導入を機にネットワーク構成を見直したい方は、広域イーサネットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
企業のICT環境、情報システムでお悩みの方へ
株式会社KUIXでは、クラウドサービスやICTサービスに関すること、情報システム部門のサポートを総合的に行っております。
DX推進やBIツールの導入・活用におけるコンサルテーションも行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください！お問い合わせはこちらから
