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情シスとは?元情シス部員が語る情シスのあるべき姿について

情報システム部門(通称”情シス”)の一員として14年間過ごし、その後、ITやデータサイエンスの専門知識を活かして、ITサービスを取り扱う会社を起業しました。

そんな私が過去は自分がいた組織、現在はお客様としてかかわる「情シス」について本記事で共有したいと思います。情シスの本質やあるべき姿、そしてその可能性についてお話ししていきます。

目次

情シス(情報システム部門)とは

情報システム部門(ISD、Information System Division)は、企業のIT環境全般を管理・運用し、業務効率化やビジネス戦略の推進をサポートする部門です。その役割は、ITインフラの設計・運用からソフトウェアの導入・開発、セキュリティ対策、ヘルプデスク運用に至るまで多岐にわたります。

情シスの役割

それでは以下で代表的な情シスが担うことについてご紹介します。

全社のIT戦略の立案

情シス部門の最も重要な仕事の一つは、全社のIT戦略の立案です。これには、企業のビジネス戦略に対応したIT戦略を考え、実行するという役割があります。これは、新しいテクノロジーを活用するための計画を立てたり、ITの投資優先順位を決めたりすることを含みます。恐らく中~大規模の企業であれば経営計画を策定していると思いますが、IT戦略は基本的に経営戦略に沿った形でそれを実現するためにITで実現するべきことは何か?という視点で策定されます。

このIT戦略をしっかり立てずに目の前のシステムのお守だけをする情シス組織も存在します。しかし、そのよう場合は、達成すべきゴールがなく、組織員は自分のやるべきことや今後の姿がイメージできず不安になってしまいます。もし現在IT戦略を立てていない、文書化していない企業様はまずはIT戦略の策定にチャレンジしましょう!

ITガバナンス、IT関連ルールの策定

情シス部門は、企業全体のITガバナンス(ITの統治)を担当します。ITガバナンスは、ITリソースの管理、ITリスクの把握と対策、IT投資の評価と効果測定などを行います。また、IT関連のルールやポリシーを策定し、全社員がそれに従うように教育していく役割も持っています。会社の規模が大きくなるほど個別の管理が難しくなるため、ガバナンスを利かせることが重要になってきます。

一方でガバナンスを利かせすぎて何か新しいITツール一つ使うのも複数の申請が必要だったり、利用が許されなかったりと社内のITレベルの進化スピードを落としてしまうことも多々あります。ガバナンス策定にあたってはこのバランスに注意しましょう!

ITセキュリティ

ITセキュリティは、情報の機密性、完全性、利用可能性を保つための取り組みです。情シス部門は、サイバー攻撃や内部からの情報漏えいなどのリスクから企業の情報資産を守るために、セキュリティポリシーや対策を策定・実施します。またセキュリティを担保するためのインフラ、ネットワーク設計やセキュリティツールの導入も行います。最近ではCSIRT(Computer Security Incident Response Team)というセキュリティ専門組織を設ける会社もあります。このようなチーム組成を行いインシデント発生時に迅速に対応できるようにしておくことはとても重要です。

社内システムの企画・構築

情シス部門は新たなシステムの導入や既存システムの改良など、社内システムの企画・構築を行います。これは、業務プロセスの改善や新たなビジネスモデルの開発など、企業のビジネス戦略を具現化する役割を果たします。

既存システムの運用保守

既存システムの運用保守も情シス部門の重要な役割です。システムの更新や改修、トラブル対応などを通じて、システムの安定した運用を確保します。システム運用、と一言で言っても非効率な運用設計にしているととても大変な業務です。また、運用品質が悪いとすぐにトラブルが発生したり余計に運用に手間がかかったりします。システムの企画や構築の際には忘れずにこの運用という視点も含めて設計していくことが重要です。

インフラ・ネットワークの管理

サーバ、ストレージ、ネットワークなどのITインフラの管理も情シスの役割です。これらのインフラが適切に機能することで、企業の業務がスムーズに進行します。最近ではクラウド型のインフラなどを利用するケースが増えています。その場合AWSやAzure、GCPといったメジャーなクラウドサービスが利用されますのでこのようなクラウドサービスに関する知識を持っておくことも情シス人材としては重要なポイントです。

ITサポート・ヘルプデスク

情シス部門は、社員のITに関する問題や質問に対応するヘルプデスクの役割も担っています。これには、システムの使い方のサポートやトラブルの解決などが含まれます。前述のシステム運用保守と密接にかかわります。また、問い合わせのログをしっかり残しておくことで新規システム開発の重要なエッセンスとなります。

IT機器管理・メンテナンス

情シス部門は、パソコンやモバイルデバイスなどのIT機器の導入、設定、管理、メンテナンスを行います。これにより、社員が日々の業務を効率的に進めることができます。最近ではモバイルなどは社員のデバイスを利用するBYODという形態をとる会社も多い課と思います。これらの管理は機器が増えれば増えるほど大変になりますが一方でIT機器の管理サービスが多くありますのでそれらの利用を考えるのも一案です。

これからの情シスの役割

では情シスの役割が分かったところで、昨今の情シスに新たに求められている役割もご紹介します。

この新しい役割に適応していける情シスが社内で評価される情シスなのでは?と思います。

DX推進

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、情シス部門に求められる新たな役割の一つです。これには、新しいテクノロジーの導入やデータの活用、業務プロセスのデジタル化などが含まれます。これまでのシステム開発や運用だけではなく、最新のデジタルツールの検証や導入の企画検討、またビジネス部門におけるデジタル活用案の策定などより「ビジネスに直結した」IT・デジタル活用のアイデア提供が求めらるようになっています。

データ分析・活用

ビッグデータの時代にあたってはデータ分析・活用は企業にとって必須となっています。これらのデータ分析・活用を推進する組織として情シス部門が先導することは十分考えられることです。データ分析にあたってはBIやDWH、データ連携基盤の導入また、既存の社内システムに関しての理解が必要のでこの点において情シスの右に出る者はいないでしょう。

これに加えてビジネスサイドのデータ活用要件を理解しつつデータマイニング、データビジュアライゼーション、機械学習などの手法を用いて、企業の意思決定をサポートできるようになればまさに次世代型の情シス舞台となれるのではないでしょうか?私は前職の企業でまさに情シス組織でこのデータ活用のサービスを始めてとても社内で評価された経験があります。情シス人材がビジネスを理解しさらにデータ分析・活用を理解することはとても大変ではありますがそのハードルを超えるだけで圧倒的に評価される情シスに変革できるのです。是非皆さんもチャレンジしてみてください!

デジタル活用コンサルタント

DXの流れにおいて社内のビジネス部門が直接IT導入するケースも増えております。また、ビジネス部門が主体となってデジタルを活用したビジネス立案をするケースもあるでしょう。このようなケースに対してこれまで培ってきたITのプロとしての知識を使ってデジタル技術の活用方法を提案し、その導入をサポートする役割も情シスで担えるのではと考えます。まさにデジタル活用コンサルタントとしてのポジションです。

これにより、各部門の業務改善や新たなビジネスチャンスの創出を支援します。現在ITやデジタル文脈のコンサルを他社に頼むと人月単価が数百万円、という話もざらにあります。このような外部流出コストを抑える意味でも社内の情シス人材がデジタルコンサルできる、というのは非常に重要な役割と思います。

内製化(社内SE)

ビジネスのスピードが求められる現代では、より柔軟かつスピーディにシステムを改善するために、「内製化」が求められています。この内製化を担う組織は情シスを置いて他にいないのではないでしょうか?もともと日本でも90年くらいまでの情シス部門は開発も行うケースが多かったのですがオープン化の流れでそのような開発のケースは減り今は開発ベンダが開発し、その管理を情シスが行う、というのが一般的です。

一方で昨今のIT/デジタル人材の枯渇の流れからベンダに依頼しても拒否されたり、高額な見積もりが出てきたり、という話は多いのではないかと思います。改めてこの内製化を行える人材を会社で育てるのは現在の状況では意味のある事かと思います。今すぐには対応できないかもしれませんが、10年後により世の中でITリソースが枯渇していると思いますが、社内には内製化要員がふんだんにいて全然困らない、という状況になっていれば他社に対して極めて有効な優位性となるはずです。

情シスの抱える課題

では次に情シスの抱える課題を見ていきたいと思います。

人材不足

ITの専門知識を持った人材の不足は、情シス部門が抱える大きな課題の一つです。特に、新しいテクノロジーや手法を理解し、活用できる人材は常に求められていますがそのような人材は非常に少なく、またベンチャー企業などに流れてしまうという傾向もあります。

また、そもそも伝統的な日本企業は新入社員の採用時に総合職といった汎用的な人材のとり方をするため、会社に入った後にやりたくもないITをやらされる、というケースも離職につながり、社内でIT人材が常に枯渇している、という状況を引き起こしています。

経営層やビジネス部門からの理解が得られない

情シス部門は、技術的な専門知識を持つため、その活動が経営層やビジネス部門から理解されにくいという課題を抱えています。特に日本企業においてはいまだに経営層が平気で「私はITがあまりわからない」というケースがあります。

「私は数値(経理)に詳しくない」は言わないのにITは言っても恥ずかしくないというのはこれだけITの経営における重要性が理解されてこなかったということかと思います。これにより、IT投資の優先順位が低くなったり、ITプロジェクトが適切に推進されないことがあります。

業務過多

ITの進化に伴い、管理すべきIT資産が増え情シス部門の業務は増え続けています。しかし、人材や予算は限られているため、業務過多となり、質の高いサービスの提供や新しい取り組みが難しくなることがあります。

情シスの課題を解決するために

では上述の課題をどう解決していけばよいのでしょうか?以下ではいくつか事例を挙げていきます。

アウトソーシングを活用する

一部の業務を外部のITベンダーに委託することで、業務負荷を軽減することが可能です。しかし、外部に委託することで、情報管理やコミュニケーションの難しさが生じることもあるため、適切なパートナー選びと契約管理が重要になります。ITの世界は有象無象の世界のためなるべくいいベンダや個人(フリーランスなど)と出会った際は継続的に関係性を保つ事が重要です。とにかく現状はいい人材は他企業との取り合いとなるため捕まえたら離さないというスタンスは重要です。

社内のITリテラシーを高める

全社員のITリテラシーを高めることで、ITに対する理解を深め、ITを適切に活用することが可能になります。これにより、情シス部門への依存を減らし、ビジネス部門が自らITを活用してビジネスを推進することが可能になります。

デジタル×ビジネスの文脈で会話できるようにする

情シス部門がビジネスの文脈で話すことができるようになることで、経営層やビジネス部門からの理解を得やすくなります。これにより、IT投資の優先順位を適切に設定し、ITプロジェクトをスムーズに推進することが可能になります。

データを活用できるようになる

データの活用は、企業の競争力を高めるための重要な要素です。情シス部門がデータ分析・活用のスキルを持つことで、企業全体のデータ活用能力を高めることが可能になります。またビジネス部門との接点も増えることでより情シス部門の重要性に関して認識されるようになります。

おわりに

情報システム部門は、企業のデジタル化を推進し、ビジネスの競争力を高めるための重要な役割を担っています。しかし、それは同時に大きな課題を抱えています。これらの課題を解決し、情シス部門が本来果たすべき役割を十分に発揮できるようにするために、情シス部門の一人一人が積極的に学び、挑戦し新たな情シス部門の価値を追い続けることが求められます。

今後も、情シス部門の可能性と挑戦について考え続けることで、より良いIT環境の実現に向けた一歩を進めていきましょう。

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