みなさん、こんにちは!本記事をご覧になっている方は「情シス」っていったい何をする組織なんだろう?という疑問を持たれているのではと思います。
私は14年間ほど情報システム部門(通称:情シス)で働いていた経験があります。情シスの役割や求められるスキルを多くの方に理解していただくために、私の経験を元に情シスの世界についてお話できればと思います!
情シスとは
情報システム部門(情シス)とは、企業内のIT関連全般を取り扱う部門のことです。情シスはビジネス活動を支えるためのITインフラの構築、運用、保守、そして社内外の情報資産の管理を担当します。また、企業が直面する情報化社会の課題に対応するため、ITの専門知識を活かして最適なソリューションを提案する役割も果たします。

情シスの仕事内容
それでは情シスの仕事内容をいくつか説明していきます。
社内システムの企画・開発
情シスの主な仕事としてまず挙げられるのが、社内システムの企画・開発です。業務効率化や業務品質の向上を目指し、必要なシステムを企画し、それを実現するためのシステムを開発します。開発は外部のITベンダーに依頼することもあれば、自社で開発することもあります。1990年くらいまでは自社開発が多く、それ以降はオープン化の流れなどを汲みアウトソースするのが主流になっています。
多くの情シスは開発はせずに大手Sierなどに開発業務は委託しているのが日本の現状です(ちなみに欧米などはあまりアウトソースの文化はないです)。昨今アウトソースの流れからまた内製化の流れにシフトしつつあります。世の中のスピードの速さに対して外注していると追いついていけないという状況が背景にあります。
社内システムの運用・利用サポート
開発したシステムの運用・保守も情シスの重要な業務です。また、システムの使用方法について社員からの問い合わせに対応し、利用サポートを提供します。ここでの柔軟な対応と的確なアドバイスが社内の業務効率化に直結します。大規模なシステムになるとヘルプデスクを立ち上げて問い合わせを集約したりします。
インフラの管理
企業のITインフラ(サーバー、ネットワーク、ストレージなど)の管理も情シスの大切な仕事です。これらの設備が適切に機能しているか、また安全に利用できるかを確認し、問題があれば速やかに修復します。昨今はクラウド型のインフラサービスを利用することが増えています。AWS, GCP, Azureなどが有名です。



コーポレートセキュリティの管理
情報セキュリティは、企業にとって重要な課題です。情シスでは、情報漏洩やサイバー攻撃などのリスクを管理し、安全な情報環境を維持します。ここでの管理は、社内だけでなく社外(例えば、取引先)に対しても求められる場合もあります。社内から社外の通信を監視したり、PCに対してリスクなく利用できるような仕組みを施したりといった仕事があります。
IT資産の管理
企業が所有するIT資産(パソコン、スマホ、タブレットなど)の管理も情シスの業務です。機器の調達から廃棄までを管理し、必要に応じて社員に配布します。また、これらの機器が適切に利用されているかを監視します。
ITガバナンス・ルールの策定
ITガバナンスは、企業のIT資源を最適に活用するための方針やルールを定めるものです。情シスでは、ITガバナンスの枠組みを作り、それに基づいたルールを策定し、全社に適用します。情報管理に関する規定やITシステムの開発や運用に関する規定などルールは多岐にわたります。
DX対応
最近では、デジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードが注目されています。情シスでは、企業のDX推進を支えるため、最新のテクノロジーを活用した新たな業務プロセスの開発や、既存業務のデジタル化に取り組むことも求められています。会社によっては情シスがDXを担うケースと、ビジネス部隊が直接ITを勉強してDXに取り組みケース、混成チームを組成するケース、など様々な取り組みが見られます。
情シスに求められる能力
次に情シス人材に求められる能力について記載します。
ITに関する知識、素養
ITの知識は情シスの基本です。プログラミング言語やデータベース、ネットワーク、セキュリティなど、幅広い分野の知識が求められます。また、素養としては、常に最新の技術トレンドを追い求める探求心も重要です。実際の情シス部員がコーディングや設計ができるか?というとアウトソースが進んでいる昨今はそうではなく、社内のシステムユーザの要件をIT要件に落とし込んでベンダに正しく伝えられる、逆にITシステムの限界含めて正しくユーザについたえて無理のないシステム化を進める、といった点が求められる知識、素養のレベル感になります。
自社業界の業務に関する知識
自社の業界や業務を理解することは、システム開発や業務改善の際に非常に重要です。自社の業務を理解することで、より適切なシステムの提案や改善策の提供が可能になります。業務を理解しないままシステム企画や構築を進めると実際には誰も使わないシステムができてしまうといったことはとてもよくあります。システム開発はある程度コストをかけて進めないとモノができてこないため、ある程度投資した段階で初めてモノに対する認識齟齬が生まれることも多々あります。ユーザの視点に立って業務を理解し、適切なシステム設計をできるのがとても重要です。
バックオフィス業務に関する知識
経理、人事、総務といったバックオフィス業務の知識も重要です。これらの業務はどこの会社でも損沿いする業務のため基本的にシステム化が進んでおり、これらの業務を理解することで、それぞれの業務に最適なシステムを開発し、効率化に貢献することができます。
コミュニケーション能力
社内外の多くの人と関わる立場である情シスでは、円滑なコミュニケーション能力が求められます。具体的な要求のヒアリングや、技術的な内容をわかりやすく説明するスキルは、日々の業務で必須となります。
プロジェクト管理能力
情シスでは、様々なプロジェクトが同時並行で進行します。そのため、一つ一つのプロジェクトを効率よく進めるためのプロジェクト管理能力が求められます。また、予算管理やリスク管理もこの能力に含まれます。
情シスの面白さ
では情シスを仕事にすると何が面白い点なのでしょうか?以下に私の経験から面白い点をいくつか紹介します。
業務もITも詳しくなる
情シスの醍醐味は、自社の業務をITの視点から深く理解できることです。バックオフィス業務からコア業務まで幅広くシステムが使われるため、社内で一番業務に詳しくなる部署、といっても過言ではありません。また、様々なIT技術に触れることで、自身のスキルも向上します。業務をITで効率化・高度化する、というスキルはまさにITコンサルで求められる知識であり、そのため情シス部員からITコンサルへの転職などは非常によくあります。
社内・社外の多くの人と関わることが出来る
情シスは社内外の多くの人と関わる機会があります。社員からの問い合わせ対応や外部ベンダーとの交渉など、多岐にわたります。多くの人と関わることで、広い視野を持つことができます。
システム化によって成果が目に見えてわかる
システムを開発し、それが実際の業務で利用されると、その成果が目に見えてわかります。その瞬間は、情シスの仕事の達成感を感じる瞬間でもあります。
情シスの課題
現在の環境において情シスを取り巻く課題は多くあります。いくつかご紹介します。
人材不足
情シスの最大の課題は、IT人材の不足です。急速に進化するIT技術に対応するためには、十分な人材が必要ですが、現状ではその供給が追いついていません。
社内からの理解不足
社内から情シスの役割や業務を理解されていないという課題もあります。情シスの業務が見えにくい、またITという特殊性のある業務であることから、その価値を理解されにくい傾向があります。
業務過多
情シスの業務は多岐にわたります。しかし、限られた人材と時間でこれらの業務をこなすことは容易ではありません。その結果、業務過多となるケースも少なくありません。中小企業などでは一人情シス状態や他部署の方が兼務されているケースも多くあります。情シス人材が枯渇する中業務過多をいかに解消していくか?は重要な問題です。
最近話題の情シスの改革
最後に現状情シスを取り巻く環境の中で話題になっているキーワードをいくつかご紹介します。
内製化
前述しましたが、昨今のビジネス環境のスピーディーな変化に対応するため外部ベンダーに依存することなく、自社でシステムを開発・運用する動きが見られます。クラウドサービスなどの普及でこれまでよりもITシステム構築に関して専門性が不要になったのも一因です。これにより、より柔軟なシステム開発が可能となります。
アウトソース
内製化の一方で、IT関係のアウトソースサービスも引き続き充実しており特定の業務を外部に委託するアウトソースも広く行われています。例えばヘルプデスクや資産管理などは他社でも同じような業務がなされてリ、共通化できることからアウトソースサービスが充実しています。このようなサービスを利用したほうが自社で要員を確保するよりも楽なケースはありますので情シスが本来の業務に集中できます。
自動化
業務の自動化も情シスの改革の一つです。RPA(ロボットによるプロセス自動化)やチャットボットなどを利用し、繰り返しの業務を自動化することで、業務負荷を軽減していく必要があります。
データ分析組織の組成
データ分析は、企業の競争力を高める重要な要素です。そのため、情シス内にデータ分析専門の組織を設ける動きが見られます。情シスは社内で一番システムの事が分かっているためデータに関してもどこに何のデータがあり、どのようにとってくればいいのかを把握できる立場にいます。従い、情シスにデータ分析組織を配置するのは選択肢として有力だと思います。
おわりに
情シスは企業のITインフラを支える重要な役割を担っています。また、新しい技術の導入や業務改善を通じて、企業の競争力向上に貢献しています。
しかし、その一方で、人材不足や業務過多といった課題も抱えています。情シスはこれらの課題を解決するために、日々新たな改革に取り組んでいます。
これまでも、これからも企業を支える立場の情シス、とても面白い組織ですので是非皆さん本記事を読んで少しでも興味を持っていただけると幸甚です!
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