ITシステムに関係している方であれば、Amazon Web Services(AWS)という名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
この記事では、
「AWSという言葉は知っていてもその内容まではわからない」
「どのようなメリットやデメリットがあるのか」
などを解説していきます。
AWSについて知りたいという方や、自社にAWSを導入しようとお考えの担当者様はぜひご一読ください。
AWSとは
AWSとはAmazon Web Servicesの略で、Amazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスの総称です。
クラウドコンピューティングサービスとは、インターネットを介してサーバ、データベース、ストレージ、ソフトウェアなど様々なITサービスを利用できるサービスのことです。
ハードウェアを導入する際に必要であった多額の初期投資、メンテナンス、仕様計画など多くのリソースが必要でしたが、クラウドコンピューティングでは、手元に1台のPCとインターネットに接続できる環境さえあれば、サーバーや大容量のストレージ、高速なデータベースなどを必要な分だけ利用できるようになります。
MicrosoftやGoogle、IBMなどクラウドコンピューティングサービスを提供する企業は数多く存在しますが、その中でもAmazonのAWS世界シェアは第1位(2023年3月時点)であり、シェアも非常に大きなクラウドサービスとなっています。
AWSの代表的なサービス
AWSでは、サーバやネットワーク、データベース、ストレージ、バックアップなど、100種類以上ものサービスが提供されています。
コンピュータを使ってできることの大半はAWSを利用して実現できると考えても過言ではないでしょう。
ここでは、100以上あるAWSのサービスの中から、よく利用されているサービスの概要をご紹介します。
仮想サーバーサービス:Amazon EC2
AmazonEC2(Elastic Compute Cloud)は、仮想レンタルサーバで、AWS上にLinuxやWindowsベースの仮想サーバを自由に構築できるサービスです。
Webサイトやファイルサーバ等のサーバを構築する際に利用します。
数クリックでサーバを構築でき、オンプレミスでサーバを構築するよりも圧倒的に速いスピードでサーバを用意できます。
サーバの台数やメモリ、CPUなどのスペックも数クリックで変更ができ、急なスケールアップやスケールアウトにもすぐに対応することができます。
オンラインストレージサービス:Amazon S3
Amazon S3(Simple Storage Servise)はデータを格納・管理できるオンラインストレージサービスの1種です。
データの保管やバックアップを行う場合におすすめのサービスです。
格納するデータ上限は無制限、データの耐久性は99.999999999%(イレブンナイン)となっており、安全に多量のデータを格納することができることができます。
また、暗号化やデータアーカイブの機能、Webサイトの代わりとなるホスティング機能も備えています。
フルマネージドデータベースサービス:Amazon RDS
Amazon RDS(Relational Database Service)は、AWS上で利用できるRDBMS(Relational DataBase Management System)の1種です。
データベースを構築したい、データベースの保守業務を削減したい場合に利用します。
MySQLやPostgreSQLのようなオープンソースのデータベースから、Oracleなどの商用データベースなど、様々なデータベースエンジンを選択できます。
OSやミドルウェアの設定、ライセンス管理などの保守作業はAWS側で負担しており、データベースサーバを管理する手間がなくなります。
負荷分散サービス:ELB
ELB(Elastic Load Balancing)はAWSで利用できる4種類のロードバランサー(ALB, GLB, NLB, CLB)の総称です。
アクセスの急増などによってWebサービスにかかる負荷を分散し、安定性や可用性を向上させるために利用します。
ELBには4種類のロードバランサーがあるため、目的に応じて最適なロードバランサーを選びましょう。
サーバーレスコンピューティングサービス:AWS Lambda
AWS Lambdaは、サーバレスを実現するためのサービスです。
サーバレスコンピューティングサービスとは、利用者側でWebサーバもミドルウェアも用意することなく、プログラムだけを開発・管理すればアプリケーションを動かすことができるサービスです。
プログラムコードだけを用意すればアプリケーションをすぐに実行できるため、非常に高速なアプリケーション開発が可能になります。
AWSのメリット
様々なサービス・機能を提供しているAWSですが、実際にAWSを利用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
AWS導入のメリットについてご紹介します。
コスト効率が高い
通常、インフラの構築には要件定義からハードウェアの調達、設置など複雑かつ長いリードタイムや、高い初期投資が必要になります。
AWS では初期費用はかからず、即時に柔軟に IT リソースを確保することが可能です。
また、利用量に応じた従量課金型のシステムのため、必要なときに必要な分だけITリソースを強化することにより、コストを節約することができます。
拡張性・可用性が高い
AWSでは数クリックでサーバーの台数の増減や、CPU、メモリ、ストレージ等のサイズを変更することが可能です。
時期や時間帯ごとでのサーバーのスペック変更やサーバの停止など、状況に応じてITリソースを最適化することが可能です。
突発的なピーク等においても、現行のサーバーリソースを監視し自動でサーバーリソースを増強するといったことも実現できます。
スケーラビリティが高く、システムが利用可能な状態を維持する能力も高いと言えます。
高いセキュリティ
AWSでは、セキュリティを最優先事項としてクラウドコンピューティングサービスを提供しており、セキュリティ機能の実装や厳格なコンプライアンス要件に対応しています。
さらにPCI DSSやISO系、FinTech、FISC、NISCといった国内で重要視される第三者認証も得ており、金融業や省庁、地方自治体等、今までクラウドサービス導入を見送っていたとされていた業界での導入実績も多数あります。
AWSが提供するサービスの個々にセキュリティ対策が徹底されているほかにも、アクセス権限の設定、ファイアウォールの構築などセキュリティレベルを高めるサービスも充実しています。
AWSのデメリット
AWSの利用にはメリットが多数存在する一方で、デメリットもあります。
メリットと併せてデメリットを踏まえたうえで導入を検討しましょう。
提供サービスが多く、システムが複雑である
サービス数が非常に多く、どの機能が何に対応しており何ができるのかを把握している必要があります。
初学習コストがかかるため、使いこなすには時間と努力が必要です。
また、利用しているサービス数が増えるにつれ、設定や管理が複雑になることがあり、セキュリティ機能において設定を間違えると問題が発生する可能性もあります。
コストの変動、高額化のリスクがある
初期費用や、不要なリソースへの費用が発生しない一方で、アクセス数やデータの利用量に応じて利用料金が毎月変動します。
また、様々な種類のサービスがあり料金体系もそれぞれ異なっており、利用サービス数が増えるほど料金の計算が複雑になります。
正確な試算が難しく使い方によってはランニングコストが高額になる可能性もあります。
カスタマイズ性が限られている
AWSは多数のサービスを提供していますが、それぞれのサービスはパッケージ化されたシステムを利用する形になります。
パッケージ1つ1つの標準仕様の中で運用していく必要があり、要件によっては細かいところまでカスタマイズできない可能性があります。
まとめ
AWSの概要や代表的なサービス、メリット・デメリットなどについてお話ししましたがいかがでしたでしょうか。
AWSでは、機能・サービスが多様でクラウド上で様々なシステムを構築することが可能です。無料利用可能なサービスもありますので、ご興味を持たれた方はぜひ一度お試しされてみてはいかがでしょうか。
一方で適切な使い方をしなければセキュリティインシデントや予期せぬ高額請求が発生するリスクもあります。本記事が、AWSを検討されている方に参考になれば幸いです。
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