近年、「NoSQLデータベース」という言葉を耳にすることが増えてきました。
その中でも「Cloud Firestore」というサービス名をご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?
2013年5月のリリースから約10年、Googleが提供するNoSQLデータサービスの「Cloud Firestore」に注目が集まっています。
ビッグデータの活用やデータ分析の領域などで、着実にクラウドコンピューティングの中心として利用が拡大しています。
今回は、そんな「Cloud Firestore」について解説していきます。
Cloud Firestoreとは
Cloud Firestoreの概要
Cloud FirestoreはGoogle社が提供するNoSQL型のデータベースです。アプリケーションの負荷に合わせて自動的にリソースを調整するなど拡張性に優れ、可用性と耐久性にも優れるため、「安定して稼働し続けるアプリケーション」を実現するためのデータベースを提供しています。
リアルタイムのデータ同期や強力なセキュリティルール、オフラインサポートも備えており、開発者がシームレスにアプリケーションのバックエンドを構築できるようなサービスとなっています。
NoSQLとは?
NoSQL(ノンリレーショナルデータベース、Not Only SQLの略)は、伝統的なSQLベースのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)とは異なり、文字通りSQL言語を使用せずにデータの出し入れや整理ができるデータベース管理システムのカテゴリーのことです。
RDBMSに比べてデータモデルの柔軟性や、大容量・可用性・拡張性が高いなどの特長があります。
Firestoreのデータモデル
Firestore にはテーブル、行、カラムといった概念はありません。Firestore で採用しているドキュメント指向データモデルは、データをコレクション、ドキュメントという概念で扱います。ドキュメントはKey-Valueの形式でデータを格納できる構造になっており、それを束ねるコンテナをコレクションと呼びます。
ドキュメントはすべてコレクションに保存されなければならず、ドキュメントには「サブコレクション」とネストされたオブジェクトを格納できます。どちらにも、文字列などの基本フィールドや、リストなどの複雑なオブジェクトを含めることができます。
ドキュメント
Cloud Firestoreでは、個々のデータアイテムはドキュメントと呼ばれます。ドキュメントは いくつかの違いはありますが実際基本的には JSON と同じで、軽量のJSONレコードとして扱うことができます。各ドキュメントは一意のドキュメントIDを持ちます。
このIDはドキュメントを一意に特定するために使用されます。データはKey-Valueの形式でフィールドに格納され、ドキュメントは一連のフィールドを持ちます。このフィールドには様々なデータ型の情報、例えば文字列、数値、日付、さらには配列や地理座標などを保存することができます。
コレクション
コレクションは、関連するドキュメントをまとめるためのコンテナとなります。
例えば「users」というコレクションには、各ユーザーの情報がドキュメントとして格納されるイメージとなります。
各コレクションには一意のコレクションIDが関連付けられます。
このIDは、コレクションを識別するために使用され、アルファベット、数字、アンダースコアなどの文字で構成されます。
Firestoreのコレクションは、データモデルを整理し、アプリケーション内の異なるデータ要素を分類するための便利な方法です。
アプリケーションのデータベース設計では、どのデータをどのコレクションに配置するかを検討し、データの整合性とアクセス性を確保することが重要です。
Firestoreの特長
RDBMSと異なる要素を持つFirestoreですが、どのような特長があるのでしょうか?
ここでは具体的な特長をご説明していきます。
データをシンプルに統合できる
Firestoreはドキュメント指向のデータベースで、データを非常に直感的に組織化・管理できる特徴を持っています。
JSONライクな形式でデータを保存するため、データの読み書きや変換が簡単です。また、Firebaseの他のサービス、例えばAuthenticationやStorageとの統合が容易で、これによりシームレスなアプリ開発が可能となります。
非常に優れたスケーラビリティ(拡張性)
FirestoreはGoogle Cloud Platform上で動作しているため、非常に大きなスケールでのデータ処理やアクセスに耐えうる設計となっています。初期の小規模な使用から大量のユーザーやトラフィックを持つアプリケーションまで、スケーラビリティの面での心配は不要です。
使いやすいクエリ言語
Firestoreには強力なクエリ機能が備わっています。これにより、複雑な条件でのデータのフィルタリングやソーティングが可能となります。また、これらのクエリは高速であり、リアルタイムアプリケーションの要件を満たすことができます。
高機能な管理ダッシュボード
Firebase Consoleに組み込まれたFirestoreのダッシュボードは、データの閲覧、編集、クエリのテストなど、データベースの管理に必要なすべての機能を提供します。これにより、データの管理やデバッグが非常に容易になります。
複数のアクセス方法が使用できる
FirestoreはiOS、Android、Web向けのSDKを提供していますが、これにとどまらず、サーバーサイドからのアクセスやREST APIを介したアクセスもサポートしています。これにより、さまざまな環境や用途に適応する柔軟性を持っています。
Firestoreの活用例
Firestoreのリアルタイム同期や柔軟なデータモデルは、多岐にわたるアプリケーションの開発で活用されています。
具体例の一部をご紹介いたします。
ソーシャルネットワーキングアプリ
Firestoreを使用すると、ユーザープロフィール、友達のリスト、投稿、コメント、いいね等のデータを簡単に管理できます。
特にリアルタイムの同期機能を活用することで、ユーザーが新しい投稿をした瞬間から他のユーザーにすぐにその内容を表示することができます。また、オフラインの対応機能を利用して、ネットワーク接続が途切れてもアプリの基本的な機能を継続することが可能です。
チャットアプリ
Firestoreのリアルタイムの同期能力は、チャットアプリケーションで非常に役立ちます。ユーザーがメッセージを送信すると、その情報はすぐにデータベースに保存され、他のチャット参加者にリアルタイムでメッセージが表示されます。さらに、既読機能やグループチャットの管理もFirestoreを使用して効率的に実装することができます。
ゲームアプリ
ゲームのリーダーボード、ユーザープロフィール、進行状況の保存など、Firestoreはオンラインゲームのバックエンドとして役立ちます。特に多人数参加型のゲームでは、リアルタイムのデータ同期が求められるため、Firestoreのようなデータベースが非常に有用です。
オンラインストア
商品情報、在庫状況、ユーザーレビュー、注文履歴など、オンラインストアの運営に必要な多くのデータをFirestoreで管理することができます。
リアルタイムの更新機能により、商品の在庫状況や価格の変動をリアルタイムでユーザーに伝えることが可能です。また、トランザクション機能を使用することで、同時多発的な注文や在庫の変動を正確にハンドリングすることもできます。
まとめ
Cloud Firestoreは、その直感的なデータ構造、高度なスケーラビリティ、リアルタイム同期機能などから、多くの開発者にリアルタイムデータベースとして採用されています。
ドキュメント指向のデータ管理から高機能なクエリ機能、さらには多彩なアプリケーション活用例まで、多岐にわたる機能を提供しており、効率的なアプリ開発のための魅力的な選択肢と言えるでしょう。
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